睡眠時無呼吸症候群が重症なのに放置すると?命に関わるリスクと今すぐ始めたい対策

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

「大きないびきをかいていたと思ったら、急に呼吸が止まった」――そんな状況が見られる場合、単なるいびきではなく「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の可能性があります。

SASの定義と分類(軽症・中等症・重症)

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome、SAS)は、睡眠中に呼吸が10秒以上停止する状態(無呼吸)や呼吸が浅くなる状態(低呼吸)が繰り返される病気です。
その頻度を示すのが「AHI(無呼吸・低呼吸指数)」という指標で、次のように分類されます。

AHIの数値 重症度分類 特徴
5〜15未満 軽症 いびきや軽度の眠気
15〜30未満 中等症 日中の強い眠気や集中力低下
30以上 重症 心疾患や高血圧との関連が強い

特に**重症SAS(AHI30以上)**になると、睡眠中に何十回も呼吸が止まるため、身体への負担が非常に大きくなります。

重症SASの目安とは?

重症のSASを抱える人は、1時間あたり30回以上の無呼吸・低呼吸を繰り返していることになり、1晩(約7時間)で200回以上も呼吸が停止している計算になります。
これにより体内が慢性的な低酸素状態に陥り、自律神経の乱れや内臓への影響が生じるリスクが高まります。

しかも、SASは本人の自覚が乏しい病気です。
多くの場合、家族やパートナーの「いびきが止まっていた」「寝ているのに疲れが取れていない」といった気づきが受診のきっかけになります。

重症のSASを放置するとどうなる?

「寝ているだけだから大丈夫」「いびきだけで病気じゃない」と考えて、重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置してしまう人は少なくありません。
しかし、放置することで身体に与える影響は想像以上に深刻です。

高血圧・心不全・脳卒中との関連性

重症SASでは、睡眠中に繰り返される低酸素状態と覚醒反応が、血圧の異常な上昇を招きます。
その結果、以下の病気のリスクが飛躍的に高まることが知られています。

  • 高血圧(特に夜間高血圧)

  • 心不全や不整脈

  • 脳梗塞や脳出血(脳卒中)

米国睡眠医学会の報告では、SAS患者は高血圧の発症率が非SASの2倍以上、脳卒中や心筋梗塞のリスクも大幅に上昇することが示されています。

交通事故や仕事上の重大リスク

重症SASを放置すると、日中の強い眠気集中力の著しい低下が現れます。
その結果として、

  • 通勤中や運転中の居眠り運転による事故

  • 工場や建設現場などでの重大な労働災害

  • 会議や商談でのパフォーマンス低下・ミスの増加

など、本人だけでなく他人の命に関わる問題へ発展する危険があります。

寿命を縮める病気とも言われる理由

睡眠中の無呼吸が原因で心血管系の負荷が蓄積し、突然死を含むリスクが高まることもSASの恐ろしさです。
実際、海外の研究では「治療しない重症SAS患者は、10年での死亡率が高まる」というデータもあり、決して放置すべき病気ではないとされています。

重症なのに放置してしまう理由とは?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、重症でも「自覚がない」ことが多く、放置されやすい病気です。ここでは、なぜ危険性があるにもかかわらず、多くの人が治療を受けずに過ごしてしまうのか、その背景を掘り下げます。

自覚症状が少ないことが原因に

SASの最大の問題は、睡眠中に起こるため、本人に自覚がないという点です。
特に重症でも、「ただ疲れが取れない」「昼間に眠くなる」など、原因がSASだと気づかないまま生活しているケースが非常に多いのです。

また、いびきを指摘されても、

  • 「体質だと思っていた」

  • 「疲れているだけだと思った」

  • 「眠れているから問題ないと思った」

などのように軽く考えてしまい、医療機関に行こうとしない人が多数います。

診断や治療へのハードルと誤解

もう一つの理由は、SASの診断や治療に対して誤解や面倒なイメージを持っていることです。

  • 「検査のために入院が必要だと思っている」

  • 「治療にお金がかかりそうで不安」

  • 「マスク(CPAP)が大げさで抵抗がある」

  • 「仕事が忙しくて病院に行けない」

実際には、最近では自宅で行える簡易検査もあり、保険適用で治療できるケースが大多数です。
しかし、そうした情報が広く知られておらず、無知や誤解が“放置”を生んでいるのが現状です。

また、症状が長年にわたって徐々に悪化している場合、「これが普通」と思い込んでしまっている人も少なくありません。

早期の受診と治療が重要な理由

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、早期に発見して適切な治療を行えば、合併症や生活への悪影響を最小限に抑えることができる病気です。ここでは、なぜ重症になる前、あるいは重症になった時点で早期に医療機関を受診すべきなのかを解説します。

CPAP療法の有効性と治療の流れ

重症のSASと診断された場合、最も効果的とされる治療法がCPAP(シーパップ)療法です。これは、睡眠中に専用マスクを通じて空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ機械を使用する治療法です。

CPAP療法を継続的に使用することで、

  • 睡眠の質が劇的に改善する

  • 日中の眠気や集中力低下が解消される

  • 高血圧や心疾患のリスクが下がる

  • 睡眠中の突然死のリスクが大幅に軽減される

といった効果が見込まれます。
また、CPAP装置は保険適用で月額5,000円前後(3割負担)で利用可能です。

治療すれば生活の質(QOL)はどう変わるか

治療によりSASの症状が改善されると、日中の眠気や集中力低下が消え、仕事や家事の効率が上がるほか、家庭での人間関係やパートナーとの睡眠環境も改善されるなど、日常生活のあらゆる面でプラスの変化が起こります。

また、慢性疾患の発症予防にもつながり、将来的な医療費や通院の負担も軽減できます。

さらに、パートナーや家族からの「いびきがうるさい」「息が止まっていて怖い」といった声が減り、家族全体の睡眠の質向上にも貢献します。

まとめ:重症SASは決して放置してはいけない

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、重症になるほど健康リスクが高まり、放置しておくことによって命に関わる重大な病気につながる恐れがあることが、これまでの解説から明らかです。

特に重症SASでは、1時間に30回以上の無呼吸を繰り返し、睡眠中に慢性的な酸素不足と覚醒反応が起き続けるため、以下のような深刻な問題を引き起こします。

  • 高血圧や不整脈、心不全、脳卒中のリスク上昇

  • 日中の集中力低下や強い眠気による事故・仕事の支障

  • 寿命の短縮、突然死のリスク増加

これらのリスクを防ぐためにも、早期の検査と適切な治療の開始が極めて重要です。
自覚症状がなくても、いびきや睡眠中の無呼吸を指摘されたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。

また、SASの治療は保険が適用され、CPAP療法をはじめとした効果的な方法が確立されています。治療を受けることで、日常生活の質が向上し、パートナーや家族の安心にもつながるという大きなメリットがあります。

「たかがいびき」と軽く考えず、自分や大切な人の健康と命を守るためにも、放置せずに行動することが何より大切です。


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